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1Q84 BOOK1 (4月-6月)」 村上春樹 (著)
1Q84 BOOK2 (7月-9月)」 村上春樹 (著)
1Q84 BOOK3 (10月-12月)」 村上春樹 (著)
今更だが、言わずとしれた昨年・今年のベストセラーをBOOK3が出たのを機に一気読みしてみた。すぐに読まなかったことに特に理由はない。今までの村上作品もほとんど読んでいるが出てすぐ読みたいというほどでもなかったので。あくまでも自分にとっては、だけど。そもそもで、発売する前に予約だけでベストセラーになるっていうのも意味が分からない。売れている理由が内容ではない、というのだけは証明してしまっていると思う。
読んでまず感じたのは、大衆文学だなー、という印象。普段あまり本を読まない人が予約して買って読んでみて行き詰まってしまう、ということはなかったと思う。独特の言い回しというか表現はやはり多いが、何を意味しているかが分からないほどではない。国語のテストで「下線部は何を意味していますか?」と出題されてもまず間違わない。これは読者層を増やしたかったのかもしれない。本を読まない人に読ませたい、本という媒体を残したいという感じだろうか。BOOK3のP132あたりで電子書籍に抵抗があるんじゃないかな、と感じた部分がちょっとだけあったので、そういうのもあるのかも。
正直、この作品はBOOK2で終わらせておく方が良かったと思った。が、BOOK3を出した以上、BOOK4、5と進める必要があると思う。時間軸的に1Q85になってしまうとしても3では終わらせられない。そこには電子書籍云々も含め、既存の出版社や版下のために書いている、という気がしてならない。そういう意味ではBOOK4が出てもおかしくない。
作品全体を通して深くつっこむ気はないが、背景描写が雑なのが気になった。そもそもで背景はほとんど出てこないのだが、1984年という時代をベースにした作品として考えると携帯電話が出てこないことは正しくてなんら違和感はない。反面、ミネラルウォーターやデンタルフロスが出てくることに違和感がある。そういうレベル。
どうしてもBOOK3が納得出来ないのは、1冊の前半半分は視点を変えただけでBOOK1,2の復習になっていた点。だから元々出す気がなかったんじゃないの?と思わずにはいられない。あと、途中の「カミソリの仮定」への流れが強引過ぎるのも雑。いくつもの仮定からその答えを導くならまだしも、1つ思いついてそれが答えってのは。。。火サスでも2、3回選択間違えるけどね。
結論としては、これまで村上作品を読んだ事がない人が興味を持ったなら読んでみるといいと思う。何せ読みやすいのでハードカバーに触れるにはもってこい。でも普段の生活の中で読んだ人は多い割に「1Q84面白かった!」て一度も聞かないのも事実なんだよね。どちらかというと「ねじまき鳥」とか「世界の終わり」が好きなんで路線が違うのかな。そうか、スッキリしちゃうからか。スッキリさせたらダメだよ、村上作品は。だからBOOK2で終わるのが良かったんだ。
で、ありきたりの流れだけど、時間があるときにジョージ・オーウェルの「1984年」を読んでみようと思う。



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