auのISシリーズの立て続けの発表など、ここ最近のキャリアの動きは、思うにガラケーでは飽和状態でこれ以上の発展は厳しいからかスマートフォンを流行らせて市場を再活性しようとキャリアが必死になっているように見える。それ自体は別にいいとして、気になるのは「スマートフォン」「スマフォ」の定義ってなんぞや?てこと。耳にすることが増えたのに解釈が統一されていない。これが不透明なので、自分なりの解釈を定めてみようと。一般的には「電話だけでなく、パソコンと同様の機能も備えた高機能携帯端末のこと」とか「PDA+電話機能」とか言われているが、それは現在の国内の携帯(ガラケーと呼ばれる類い)の機能から考えると当てはまらないんじゃないかなと。キャリアの経営層の言葉から感じるのは「AndroidOSやiOSを使っていたらスマートフォン」とすら思えてくる。だからこそ違和感があるんだけど。

自分の中でスマートフォンといって最初に思い浮かぶデザインはやっぱりRIMのBlackBerry。PalmとかクリエといったPDAを使っていた経験がある人には多いのではないかと思う。iPhoneが初めて発表されたときのプレゼンでジョブズは「ハードキーボードで使っているこの面積は無駄でしかない」的なことを言っていたと思うけど(もちろんそれは正しいとは思うけど)、これはこれで好きだし、これが一つの定義じゃないかと思う。つまり、

・QWERTYキーの存在

があると思う。BlackBerryのように物理の場合もあるだろうし、iPhoneのようにタッチスクリーンキーボードの場合もあるだろうけど、つまり長文を打つのに適している(とされていた)QWERTYキーがあるかないかではないかと。元々、スマートフォンと呼ばれるカテゴリがビジネスシーンでの利用、特に長いメールのやり取りや、Office系やPdfなどのビジネスドキュメントの編集や閲覧が主機能だったことに拠るのだと思う。このあたりも一つの定義かもしれないので箇条に追加。

・Office系やPdfなどのビジネスドキュメントの編集や閲覧

iPhoneなどが世に出てくる前に、いくつかのPDAを使ってきたときのことを思い出すと、このあたりの機能は結構重要だったように思う。ただ現在では会社貸与の機種ならともかく、私有の携帯機器に会社のドキュメントを送ることはセキュリティ(特に情報漏洩)の観点から難しい企業が多いんじゃないかな、特に国内は。このドキュメントを「ファイル」という単位で考えたときに、

・ファイル管理、ディレクトリ(フォルダ)管理

というキーワードも重要じゃないかと思う。つまりコンピュータのように扱うというのはそういうことではないかと。必要なファイルを必要な場所に置くことができ、自由に開くことが出来る。これが意外に意識されにくい。しなくても成り立ってるからなんだけど。iPhoneでも母艦なしでは出来ないことだし。WindowsMobileとかは結構自由だった印象があるけどね。

それから、以前auの携帯を使っていたとき(かれこれ数年前)に不便だなー、と思っていたのはやっぱりウェブ閲覧の環境。調べたいことがあっても検索も役立たないし、求めているページも見られなかったり。フルブラウジング機能がついていたけど、表示が遅すぎたり閲覧自体出来なかったりと使い物にならなかった。そういう点からも、

・PCと同じようにウェブサイトが不自由なく閲覧できること

なのかなと思う。もしかしたら最近の携帯電話はかなり改善されていて不自由はないのかもしれない。むしろFlashに対応していないiPhoneのことを考えるとそれもまたどうなのかな、と。なので今はそこまでの重要性を置くポイントではない。

むしろ個人的に「今のスマートフォンの定義」を考えたときにもっとも重要なのはカスタマイズ性。つまり、

・アプリケーションのインストールとアンインストールの自由度

ではないかと思う。これが出来るか出来ないかだと思う。もちろんiアプリとかezアプリとかとの違いをどう解釈するかという問題はあるのだけど。本来はOSも含めてこの定義に入れることが出来れば分かりやすいのだけど、さすがにそれは厳しい。OSに関しては、特に国内のAndroidOSの携帯で思うのは、OSをカスタマイズしすぎな点。これは良くないと思うけど、スマートフォンを誰にでも不自由なく使わせるために必要なのかもしれない。もしくは国内メーカーが触るとどうしてもそう作ってしまうのか。

OSはともかくとしても、アプリケーションの選択は自由でかつ重要なはず。しかし、自分のまわりでスマートフォンとされる機種(iPhoneやAndroid系)を使っている人はほとんどアプリケーションを追加したり変更したりしていない。機種を買ってすぐにオリジナルで入っているアプリケーションに2、3の無料アプリケーションを追加したのみだったり、「***買ったらまず入れとけアプリ10選」的なサイトに載っているのだけを入れているとか。正直それは使い手にとって必要なアプリケーションではなく、あれば便利なだけのアプリケーションでしかない。逆に言うと、入れなくても標準機能で成り立つわけで、標準機能で成り立つのであれば、スマートフォンを買う必要はない気もする。まぁ、必要がないと言うのは言い過ぎで、買う買わないとか使い方なんてのは個人の自由だけどね。ただ、なぜそれを買ったのか聞いてみたい、と思う人が多いのは確か。特にマーケットが固定されていないせいかAndroidユーザに多い。そう考えると、マーケットを先に固定し普及させたAppleのやり方はやはり優れている。そのための先攻投資やiTunesの無料配布を考えると、アプリ開発者の「Appleはマージン取り過ぎ」というのは一概に言えないのかもしれない。アプリケーションの数でよく比較されるけど、本当はトータルのダウンロード数とアプリケーション数を組み合わせて比較しないといけない。どちらが本当に開発者にとって有益かを考えるなら。

最近、国内でスマートフォンとされている機種(iPhone、Desire、Galaxy、Xperia、ISシリーズ)を購入した人の多くは「みんなが持っているから」「かっこいいから」と、「目的」ではなく「ファッション性」からきているように思う。先に書いたようにそれを否定する気まではない。この点はむしろその考えを利用しているキャリアが賢いとさえ思う(数少ないその場しのぎ的な購買層発掘という点だけど)。本音では「どうせろくに使いこなさないよ、きっと」とか思って機種を売り出しているんじゃないかと思う。ユーザが使いこなすことを考えていたら、AndroidOSも最初から2.2でくるだろうし、くるべきだと思う。なんとなくWindowsPCやインターネットが普及した2000年過ぎくらいにもこの傾向があったような気がする。買ったけど使わないPC、繋いだけど使わないインターネット。おそらくまた同じようなことになるんじゃないかなと思えて仕方がない。

そんなこんなで、脱線しながら定義を殴り書きしてみたけど、まとめてみると

・QWERTYキーの存在
・OfficeやPdfなどのビジネスドキュメントの編集や閲覧
・ファイル管理、ディレクトリ(フォルダ)管理
・PCと同じようにウェブサイトが不自由なく閲覧できること
・アプリケーションのインストールとアンインストールの自由度

で定義としていかがでしょうと。逆にこれから購入する人は、このあたりが本当に必要ですか?というところじゃないかな。ガラケーの方が、きっと電池のもちやカメラの機能も良いし、ワンセグもお財布機能も使えるし。機種によってはWi-Fiも使えたり、Twitterウィジェットも入ってたり。何より母艦いらないし。

あと、書いていて思ったけど国内の市場は、

・ガラケー
・スマートフォン(BrackBerry、Desire、WindowsMobile系のいくつか)
・それ以外(iPhone、Android、Galaxy、Xperia、ISシリーズなど個々としての存在)

ではないのかなと。そう、iPhoneはスマートフォンではなく、iPhoneなのだ。


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