以前から行きたいと思っていたコストコにやっと行ってきた。コストコ初心者だったが、十分楽しい買い物の時間だった。

ところでアメリカのショッピングと言うと、何か大雑把なイメージみたいなのがあるが、実際に数時間店内にいて感じたことは、意外にしっかりした”したたかなビジネスをやっている”という点。関東の出店は2000年からみたいなので、10年以上前。となると、外資系の小売りにしてはうまく日本に適応出来ているのかもしれないなー、と。というわけで、なんとなく感じたことなどを忘れないうちにまとめてみようかと。

1.店員が少ない

 倉庫型店舗という点でIKEAのイメージを持っていた部分があるが、それと比べても、ましてや日本の大手小売店(イトーヨーカドーやイオンなど)と比べると圧倒的に店内にウロウロしている店員が少なかったように思う。ただ、それで客として困るという感じはなかったし、キョロキョロと店員を探している客も見ることはなかった。全くいないというより、必要な場所にはピンポイントに複数人配置するなどしていて、店をよく分析し効率的にやっているように思えた。

2.品数が少ない

 一つの商品あたりの在庫数は多いと思うが、品数というか品種は少ないと思った。ざっくり言うと、売れ筋商品のみに絞り込んでいる印象。同じカテゴリの製品をメーカー別に並べるような日本的なことはしていない。例えば、冷凍のチャーハンを売る場合、日本の小売店だと、ほとんど似たようなパッケージなのに複数社を均等に並べる。ニチレイ、味の素、ニッスイなど。コストコはそれがなかった。この商品はニッスイだけ!ていう感じ。ポテチはカルビーだけ!コンソメ味だけでわざわざ3社分も並べません。家電にしても同じで、同等の機能レベルのモデルの比較を店内で強いられるような品揃えにはなっていなかった。例えば掃除機だと、単身者向けにエレクトロラックスのエルゴラピード、家族向けにdysonのDCシリーズ、共働きや家電好きをターゲットにルンバという感じで、ターゲットも見た目もかぶらない。間違ってもパナソニックと日立と東芝とシャープのサイクロン掃除機が横一列に並んでいるようなことはなかった。つまりそういう点で、品数が少ない。ただ、そこにストレスを感じないのは、おそらく次のポイントが関係しているのかも。

3.洋物メインではないし、商品もいい線をついている

 日本に定着している理由の一つはこれかもしれないと思うのだが、2.で書いた絞られた売れ筋が結構”なじみのある商品”だった、という点。思い切りアメリカ!て感じの品揃えと思っていて、むしろそういうの好きだから期待していたところもあるんだけど、そうではなかった。全体で見ると、2:8か3:7くらいで洋物が多いんだけど、売れ筋として並べている商品に関しては、6:4か7:3くらいでなじみの商品。
 例えば、洗剤コーナーの場合、タイドとかダウニーとかがメインの陳列で、まるで「LUSHの店内にいるような嗅覚を刺激するエリアがあるんでしょ?」なんて思っていたけれど、普通にメイン処ではアリエールが並んでいたりね。もちろんダウニーとかもあったけど。他にも見たことのないウインナーやハムの列を見ていくと一番良い場所には、シャウエッセンとアルトバイエルン。そんな具合で、慣れ親しんだ国内の商品を1000円くらいの容量(コンビニのPBのように個別に生産してもらっているのか、そもそも業務用として存在していたのかは分からない)にして良い位置に並べている。
 もう一つ感じたのは、絞り方がうまいな、という点。これはアパレルのエリア(メンズ)で感じたことだけど、やはり品数は多くないのだが、シャツはラルフローレンとトミーを無造作に積んでいたり、スポーツウェアはプーマとアディダス、という感じで、平均程度くらいにはブランドを気にしちゃうレベルの人の妥協点を押さえている点。買ってしまう人は割といるように思う。なんとなく安く見えるから余計にね。

4.安いかどうか分からないが安いと信じる

 基本的に大容量なので、同じ量の同じ商品を近所のスーパーで見ることはない。厳密に安いかどうかを比較しようと思ったら、量を揃える計算が必要になる。だが、それはしない。「きっと安いだろう」と思い込んでしまう何かがある。たぶん厳密に計算したら、大半の商品は少しだけ安い、っていうところに落ち着くんじゃないかと思う。ただ、手軽に市場価格が分かるものに関しては、市場調査をして、それより安くしているんじゃないかなと感じた。つまり量の比較が発生しない商品。例えば、今日僕が店舗内でネット上の価格を調べたのが、SHIZUKU PLUS+という加湿器と日本酒の久保田 萬寿。前者の場合、楽天で今日の最安値(在庫あり)が、¥3,980+送料¥630の¥4,610だが、これをコストコは¥3,780に設定している。店内とかで検索する場合、送料まで見ない人が多いと思うが、送料を抜いてもまだコストコが安い。「楽天だとポイントがつくし!」というポイント分を差し引きして、まぁトントン(でも送料は別途必要)。久保田にしても楽天では安くても¥8,500前後(送料別)だが、これを¥7,000を切る価格設定にしている。こういうさっと検索できる商品を安く、しかも導線的には序盤に置くことで、後半の商品に関しては調べなくてもきっと安いに違いない、という心理に持っていっているように思う。少なくとも僕は後半、検索はしなかった。むしろ「でけー」とか言って、純粋に楽しんでいた。

5.僕は気に入った

 コストコで買い物をする場合、おそらくストレスがあまりないように思う。上記の2.や3.で書いたことにも関係するけど、一番欲しい商品とそのライバル商品の二つを置いている店で、行った日に限って一番欲しい商品の方が”取り扱っているが欠品中”だったりすると、入荷を待つか、妥協してライバル商品を買うかということになる。これはどちらを選んでもストレスが発生する。まず、そういう選択条件が発生しない。選択肢がないことにより、あるorない、しか起こらないというのはなかなか良いよ。それと「この商品を絶対に買う!」というために行く店にもなっていないと思う。大半の客は店に着いてから、欲しい物が見つかれば買うが、見つからなくても必死に求めることはしない、という空気がある。店のしたたかさと相反して、客はゆるくなっている、そういう店なのだと思う。
 いずれにしても、好きなアメリカを垣間見れた気がして楽しかった。国内のあちこちに乱立しているショッピングモール(同じ店舗が入店し、導線設計も同じ)に比べると、よっぽどね。さらに言うと、そういうショッピングモールやアウトレットモールに行ったときよりも、金を使ってしまった。(しかもその金を一回のレジだけで使っていることを考えると、店舗人件費という点ではかなりコストの効率化が出来ているなぁ)
 
 そんなわけで僕はコストコをなかなか気に入ったと言える。なので、さっそく「コストコ最強バイブル」をポチっと。こいつを熟読して、次はしたたかな客として望んでみようと思う。


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