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10月に実施されたIPA(情報処理推進機構)の実施する情報処理技術者試験の高度区分の一つ、ITサービスマネージャ(SM)に合格した。今回はこれまでに受けた試験と異なる点がいくつかあったので、自分用の備忘録がてら振り返りをしてみようと思う。

まず最初に、これまでに自分が取得したIPAの試験は以下の通り。一応、高度も論文あり・なし両方取得出来ているので、バランスは良いかな、と。

2003秋:基本情報技術者(FE)
2012春:情報セキュリティスペシャリスト(SC)
2014秋:ITサービスマネージャ(SM)

社会人になってすぐに基本情報技術者を取得以降は特に試験も受けずに何年も経過。30歳前後の頃、きっかけは忘れたが、応用情報技術者は飛ばして、高度区分から自分の職種に近いところを受けようと思い、情報セキュリティスペシャリストをターゲットにした。このときは、長く試験勉強をする習慣から離れていたことと、情報セキュリティだけは高度区分で唯一春夏と二回チャンスがあることから、長期スパンで計画し進めることにしたのを覚えている。

具体的には、2011春に午前1合格のみをターゲットにして勉強。午前1さえ受かってしまえば以降2年間(ここで受かれば少なくとも13春まで)は午前1が免除されるため、午後の試験勉強に特化できると思ったから。ちょっと受験料がもったいないような感じもするが、11秋に午後2まで頑張ってどうか、ダメでも12春には受かる、と決めてやっていったところ、一応予定通り12春に合格。ちなみに期間中ずっと勉強していたわけではなく、いつも試験の3ヶ月前くらい。

とにかく、これで14春まで免除が延長されたわけだが、結局それはうまく活かせなかった。12秋に受けたITストラテジスト、13秋に受けたネットワークスペシャリストともに午後2で敗退。どちらも試験終了直後に「勉強不足だな」と感じた。午前の手応えと対照的に午後が手応えが全くなかった。このときの勉強時間、STは130時間、NWは110時間ほど勉強したけれど、内容が偏っていたのと応用力をつけるまでに至らなかったのが正直な感想。午前は余裕だけど、午後がダメ。間の春試験は二度とも受験しなかったため、結局14春のタイミングで午前免除がなくなった。と、そういう状況で受けたのが今回のITサービスマネージャ試験だった。

先に言っておくと、試験日前日の自分の気持ちは一言で「勉強不足」だった。だいたいいつも3ヶ月前後の勉強期間を設ける。そして、勉強を始める最初のタイミングで、試験日までの週単位のカリキュラムをおおまかに作る。併せてだいたいこれくらいの時間を勉強しようという目標ラインを決める。今回の場合は、130時間に設定していた。ITサービスマネージャの範囲自体(午前2〜午後2)については110時間だが、午前1は3年ぶりくらいなので20時間を割いた。が、結果として合計89時間。これまでに受けた試験の場合、1ヶ月程度勉強したあたりからスイッチが入ってきて他の興味を引く対象を切り捨てていけるのだが、今回はそのスイッチが最後まで入らなかった。10月に入ったタイミング(試験3週前)で「午前1まであるのにこの状況は流石に厳しいな」と痛感していたので、思い切って午後2の論文対策に時間を充てることを諦めた。そうやって若干の運まかせで受けた部分があるにも関わらず、意外にもこういうときに限りうまくいくようで不思議な感じもする。

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ただ、今回が運だけではない点があるとすれば、まず2011年にITIL v3 ファンデーションを勉強、取得し、その後もプライベートでITサービスマネージャの勉強会に定期的に参加してきてたことがある。IPAのITサービスマネージャがITILを重視している点からも用語の理解がほとんど不要だった。逆にISO20000の知識が圧倒的に足りなかったので、そこのカバーが必要だった。ISO20000はベストプラクティスのITILとは違い、要求事項(しなければならない(shall))なので、そこの考え方の違いも今回ちゃんと抑えれたのは良い機会だった。

もう一点は、午後2の論文対策を放棄した理由にもなるのだが、実務で7年近くまさにITサービスマネージャとして定義されている仕事を一つ一つやってきたというのがあった。IPAの試験(特に論文)は、その業務に従事している人に「なりきる」ことが大事とよく書籍に書かれている。まぁ、自分はなりきれずに秋に2連敗していたわけで、今回はなりきる必要がなく地でいけるというのは、何よりも心強い。結局、実務経験に勝るものはないんだな、と。

ところで、特別おすすめというわけではないけれど、今回使った参考書は以下の3冊と過去問5年分。

高度共通 午前1対策 合格テキスト&トレーニング」(リンクは2015年度版)
ITサービスマネージャ 合格テキスト 2014年度
2014 ITサービスマネージャ「専門知識+午後問題」の重点対策

参考書はAmazonとかのレビューは全然参考にしない。大きい本屋(丸善か紀伊国屋)に行き、自分のやりたい勉強方法にマッチしそうなのを探す。勉強方法やベースの知識が異なる以上、参考書に関するレビューが役に立つ事はあまりない。自分が知りたいこと、知らないことをちゃんと書いているかとか、問題と回答のページの作りとかを見る。回答が見え過ぎても困るし、ページを頻繁にめくらないとダメな本もペースを崩されるのでそういうストレスが極力少なくて済みそうなのを探す。午前1対策はいつもITECの「応用情報・高度共通午前試験対策」を使っていたけれど、今回は売っていなかったので、別のをチョイス。とにかく午前1と午前2は数をこなすのが重要。正直午前1や2で落ちるというのは決定的に準備が足りないと思う。時間かけて対策とれば確実に通る。だから準備不足で午後の採点をされないのはもったない。やるからにはせめて午前は余裕で通過した方が良いと思う。

過去問はどれも3回以上解いているし、どの回答が正解か、どれが誤解でそれは何故か、を自分で調べるようにしている。だいたい問題文を1/5くらいにそのまま打ち込んでググれば解説してくれているサイトがいくつもひっかかるので、複数見比べれば分からない点はなくなる。

あと今回午後2の論文は放棄したとは言っても、最低限の対策はしてから望んだ。ざっくり言うと、立ち位置。論文要旨を書くアンケートのような紙と、書き出しの「1−1 はじめに」に書く数行は決めておいた。どんな問いが来ても微修正で済むレベルの内容。これはほぼ暗記。ここで手が動き出さなかったらもう論文を書き上げるのは無理だろうと思うので。スムーズに執筆の流れに乗るためにも限られた時間で出来る唯一の論文対策。でも効果があったと思う。

IPAの高度試験は、午前1から受けるかどうかで準備の仕方・勉強時間が多少変わるが、基本的にはだいたい戦略は同じ。午前は徹底的に問題を解いて、問題とその解説を通して覚えていくこと。ただ、もしその分野がまったく未経験のジャンルなら問題集だけではなく参考書も1冊用意し、事前に3周くらい読んで全体の感じを把握しておいた方が良いはず。あとはその知識が使えるレベルかどうか、応用がきくか、と言う点で午後1、午後2と進んでいく。午後1は正確に読解し、正確に質問の意図を考えることだと思う。だいたい怪しい点は問題文に書いている。本筋に対して、なんか説明し過ぎだな、という点がヒントになりやすいように思う。「バックアップを取っている」という文に対して、バックアップの時間やサイクルの説明とか、「〜をするようにしている、ただし〜」のただし以降の一文とか。変な想像はいらないし、想像で書く答えは存在しないと思う。午後2は前述の通り。本来は、1本くらいサンプル論文書き上げて、文字数や時間配分、手の力加減(練習がないと本当に手が疲れる)などを把握しておくのは重要だと思う。

というわけで、ITサービスマネージャ試験の振り返りはこのあたりで終わりにしようと思う。15春はPMを受けるか悩んでいるが、既にIPAとは異なる他の勉強をしているのでおそらく受けないと思う。午前免除は16秋試験分までだが、それまでに活かす機会があるかどうか。

余談だが、昨年末をもって長年ITSMを担当してきたシステムが終了した。メインメンバとして関わったシステムでは最長期間、既に今は他の案件が複数同時で動いているものの、若干ポカンと穴が空いた感じ。ただ、やってきたことが正しかったというのがこの試験の合格をもって自分の中で整理できたような気もしているので、一つの区切りとしては良かったように思っている。


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