最近は、Kindleで読む率が高まってきたけれど、同じくらいの割合で近所の図書館で借りて読むということも増えてきた。当初はあまり考えていなかったことだけど、実際に図書館を利用して気が付いたことは、2週間で返却期限がくるため、積ん読が出来ないということ。また、ちゃんと買って読みたい、もしくは手元に置いておきたい本かどうかを読んで判断が出来る、という点も良い。

逆に欠点としては、読みたい本があまり多くないこと。結構致命的。そういう点では佐賀の武雄市がツタヤに運営を委託した図書館なんて利用者としては、とても魅力的。蔵書検索して読みたい本がひっかかるのはうらやましい。スタバも併設されているし、本好きには最高なんじゃないかと。賛否両論あるみたいだけど、案外普段図書館を使わない人が批判しているんじゃないかと。

それはともかく、やはりこの頃はあまり時間もないのか冊数が伸びない。通勤電車でも以前ほど寝ないのに伸びないのは不思議。電車で何しているんだろうか・・・。

監督・選手が変わってもなぜ強い?〜北海道日本ハムファイターズのチーム戦略〜 藤井 純一(著)

ファイターズのファンなので手にした一冊。どういう強化策を考えているか、技術面はどういう鍛え方をしているのか、そういう内容だと思っていたが、読んでみると全然違った。むしろサービスマネジメントやホスピタリティが主な内容。これは良い意味で期待外れ。純粋に面白かった。

著者は元北海道日本ハムファイターズの社長、その前はセレッソ大阪の社長。日本ハムの社員だが、ここ15年くらいの経歴は、国内のスポーツビジネスの旗手。元来、チームの所有会社の広告塔の位置付けだった社会人スポーツを、スポーツ単体で儲けを生むビジネスに変革している。海外では当たり前だが、国内ではまだまだなこの分野は発展途上。元々人気のなかったファイターズ(東京ドームが本拠地だった頃のことを思い出すと頷けるはず)と今の姿を比べるとその努力はよく分かる。とは言え特殊な手をたくさん打ってきたわけではなく、消費者と相対する企業がサービスという枠の中でこれまでにやってきたことを、プロ野球の世界で同じようにやってきたに過ぎない。過ぎないが、特殊なカテゴリであり、チームの成績やスター選手の有無などによっても大きく変わるこの世界でのそれは、適切なタイミングでの実施が重要で、それを確実にやってきた結果ではないかと感じた。中にはANAのマイレージ制度を参考にしたポイントプログラムを作ったりと、業界全体が後発なだけに参考素材が多いわけで、それならやるべきでしょう!というスタンスは古い慣習に捉われていなくて素晴らしいと思う。

ところで、ファイターズは毎年ドラフトで「そのとき一番優秀な選手を指名する」というのは有名だが、そのベースに日本球界で先駆けて自力で構築した「選手の力を客観的な数値で判断できるシステム」があったことに驚いた。2005年からということで、MLBに比べたら驚くほど遅いが、いわゆるセイバーメトリクスを取り入れていたわけで、色々とチームの方針で腑に落ちた部分があった。なるほど、アスレチックスに近いのだね。チームの選手獲得などの考え方のベースが少し分かった気がしてなお良かった。

佐藤可士和の超整理術 佐藤 可士和(著)

著者の仕事ってネット上の評価は結構両極端な気がする。

例えば「ユニクロのロゴ、何これ?」みたいなのが多い。でも、一瞬であのカラーと形で「ユニクロだ」って分かるようになっているなら、彼が仕掛けたブランディングが成功している証拠。で、あればビジネスとしての評価であり、効果が高い。つまり、やはり有能なんだと思う。一度、氏の講演を聴きに行ってから自分の見方もかなり変わった。このあたりはそのうち書いてみたいと思っている。

さて、本書だけど、個人的には結構好きな本だった。いわゆる片付け推奨本とかではない。当然「空間」という言葉を使って、整理の入り口として片付けは定義されているが、それ以上に、その先の「情報」や「思考」の整理に軸がある。マインドマップであったり、SEにとっての要件定義など、考え方はいくらでも応用がきく。自分の視点をどう置くか。

いずれにしても、この本を読んでから、空間という点だけでもと思い、机上と鞄の中の整理はしっかりするようになった。そして、それが当たり前になってくると以前の雑然としている感じが信じられなかったりする。

気に入った点、気になった点は、

・クライアントから問診のごとくヒアリングを重ね、相手の抱える課題や伝えたいことをきちんと整理すること

・クライアントと綿密にコミュニケーションを重ねることで、答えが見つかる

・やはり放っておけばモノは多くなります。意識的に整理を重ねることで、すっきりさせた状態を保っている

・仕事を優先するあまり、机周りの整理は後回しになってしまうのでしょう。でも、それでは順番が逆なのです。まず、仕事をする場所をすっきりさせることが、仕事の効率をアップさせることにつながる

・何が起こるかわからないという気持ちから、モノがたくさんあると人は安心するものです。(中略)しかし、その不安は本当に根拠のあるものでしょうか?

・性能がいいからといって必要とは限らない、ということ

・”とりあえず”とはいつまでのことなんだろう?

・アートディレクションという仕事は、決して虚飾のイメージを作り上げるわけではなく、対象の本質からアイデアを導き出している

・仮説を立てて、恐れず相手にぶつけてみること



CEO OF THE INTERNET ジェフ・ベゾス、かく語りき Steven Levy(著)

Kindle用のWIRED Single Storiesの一つなので、短い特集みたいな感じ。ところで日本ではジェフ・ベゾスという名前を知らない人が多いような気がする。Apple=(故)スティーブ・ジョブズ、Facebook=マーク・ザッカーバーグ、Google=ラリー・ペイジのように社名と創業者の名前が繋がりやすいのと比べると、Amazonに関しては繋がり度合いが一段低いように思う。その必要よりAmazonのサービスが認知されていれば問題ないんだろうけれど。実際のところ、あまり書籍やインタビュー記事も多くないようにも思う。

まぁ、そんなジェフ・ベゾスがKindleを世に送り出すときの熱い想いを語ったインタビュー記事が本書。(Kindle限定)

この人の言葉で一番印象的だったのは、これ。

ビジネスにおいてよく出る疑問は「なぜそんなことをやるの?」というものです。いい質問です。でも、とするなら「なぜやってはいけないの?」という疑問も、それと同じくらい正当性があるのです。



海がきこえる 氷室 冴子(著)
海がきこえる <2> アイがあるから 氷室 冴子(著)

ジブリの作品でも(そこそこ)有名な「海がきこえる」の原作とその続編。ジブリ版は10年以上前にビデオで観たがほとんど覚えていない。だけど、この作品の舞台が高知(と吉祥寺や石神井など東京西側の一部)ということもあって、高知好きとしては、これはちゃんと読まないとな、と義務感のようなただの高知オタクのようなきっかけ。

近藤勝也氏の挿絵も美しいんだが、作品自体も忘れている何かにアクセスしてくる感じ。良き時代の良き空気感がある。ドロドロした感じが全然ない。綺麗なんだと思う、設定も文章も。

毎年行くこともあって、さすがに高知市内の地名も多少詳しくなってきた。だから出てくる地名が普通に分かってイメージがさらに具現化する。帯屋町のアーケードとか天神大橋とか。おかげで今年の高知がまた一つ楽しみになった。あー、これがいわゆる「聖地巡礼」ってやつ?笑

読んだあとにDVDを借りて映像版を改めて観てみたが、これはこれでやはり好きだな、と。しかし本編70分に対して、制作メンバ(ジブリの当時の若手集団)のインタビューが50分と、どっちが本編なんやら。



新版 金利が動くとどうなるか 角川 総一(著)

住宅ローンの借り換えとかを考えていたときに、そもそも固定金利とか変動金利とかにダイレクトに影響する指標って何か知らないな、と思って。詳しく知る必要はないけれど、ざっくりでも知っているのと、全く知らないのでは違うんじゃないだろうと思って手にした。まさに、そのざっくり知りたい感に、図表付きで応えてくれたので、正解だったように思う。

こういう風に少しでも興味のあることは、一段ずつでも掘っていくべきだと最近よく思う。何でもそうだけど、勉強している人としていない人は長いサイクルで見たときに、大きな差が開いてしまう、そしてその差に気が付いたときは手遅れのときもある、そんな時代になってきているんじゃないかな、と。まぁ、本人の捉え方次第だけどね。



転職塾。―採用のプロが本音で教える 梅森 浩一(著)

数年来、一緒に仕事をしてきた同僚がもうすぐ転職の予定だったりと、転職というキーワードもごくごく身近なもので、ケースは色々あるけれど、割と頻繁に耳にする。活動する人の気持ちや悩みを少しでも理解すべく、最近転職本とかもちらちら読んでいる。

本書は、そんな転職活動の大事なポイントを簡単に、本当に簡単にまとめている。ただし、一般的な転職HOWTO本とはちょっと違う。そういうHOWTO部分は既にちゃんと考えた上での行動を求められている。そこまで考えた上での行動であれば、この本のエッセンスは役に立つんだろうな、と。固い内容かと思いきや、軽い雰囲気で一瞬で読み切れる。

印象に残ったのが、「3-3-3現象」。これは「3秒でひとめぼれ」「30秒で好感度が決まる」「3分でウマが合う、価値観が合うかが決まる」というもので、なるほどな、という感じがしたり。いろんな人と出会う中で、この現象は確かにそう言われてみれば、というのがあるようにも思う。ということは逆もしかりなので、気をつけよう、と思ったり。



(年間目標に対して… 13/18冊 → ペース的には目標を達成出来そうだけど、試験勉強するから失速するだろうなぁ)


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